今回は、登録ヘルパーの高齢化に伴う認知症診断テストの体験を通じて感じたことについて書いていきたいと思います。
「長谷川式」って具体的にどんな内容を質問するのかな?
ほかにどんな認知症診断ツールがあるのかな?
そのような疑問にお答えします!!
訪問介護のヘルパーなら最低限押さえておきたい必読書4冊!!
①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすい!!
②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説されており、医行為でない行為が判別できるようになる!!
③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる!!
④認知症世界の歩き方 [ 筧 裕介 ]
・認知症の方の世界の見え方を理解し、現場で生かせること間違いない良書!!
はじめに
先日、こんなツイートをしました。
働いてくれているヘルパーさんに認知症疑惑があり、月に1回の定例会で、認知症ケアについての勉強会を行いました。
その中で、認知症診断スケールの体験と称して、そのヘルパーさんも含め、参加者全員で体験してもらいました。
午前、午後の部と分けて開催し、
午前は、長谷川式認知症スケール(HDS-R)
午後は、認知症予防協会の認知症自己診断テスト
を行ってもらいました。
この長谷川式認知症スケール(HDS-R)の生みの親の長谷川和夫先生が、認知症になってしまったと最近公表され、認知症になってしまった心境を吐露した本を書かれています。
・ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言 [ 長谷川 和夫 ]
この長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、検査者からの質問に答える形式となっています。
さまざまな認知機能を簡易的に幅広く検査することができるので、認知症が疑われる場合などでは、日本で最も多く実施されているスクリーニング検査となります。
それでは、具体的な内容を見ていきましょう!!
長谷川式認知症スケール(HDS-R)
1:お歳はいくつですか?(2年までの誤差は正解)
2:今日は何年何月何日ですか?何曜日ですか?
3:私たちが今いるところはどこですか?
(自発的にでれば2点、5秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?の中から正しい選択をすれば1点)
4:これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
(以下の系列のいずれか1つで、採用した系列に〇印をつけておく)
①a)桜b)猫c)電車 ②a)梅b)犬c)自動車
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4で覚えておいた3つの言葉を後で回答したりして、質問は全部で9問まであります。
30点満点で20点以下の場合、認知症の可能性が高いと言えます。
もう少し詳しく知りたい方は下記を参照してください。
・長谷川式認知症スケールの検査用紙(PDF)
認知症の診断は、長谷川式認知症スケール(HDS-R)の結果だけではなく、CTやMRIなどの検査や症状の特徴をみて、総合的に判断して行われます。
午前中に参加してくれたヘルパーさんは、比較的若い方が多く、全く問題なく、体験は終了しました。
午後の部に、認知症のある疑惑のヘルパーさんが参加してくれました。
本人の様子を見ると、長谷川式認知症スケール(HDS-R)では簡単すぎると判断し、認知症予防協会の認知症自己診断テストを行ってもらいました。
この自己診断テストは、長谷川式認知症スケール(HDS-R)比べると難易度は高く、MCI(軽度認知障害:認知症でもなく、正常でもない状態で、認知症の予備軍と言われており、数年後に認知症になるリスクが高い)向けのテストではないかと感じました。
認知症予防協会の認知症自己診断テスト
はじめに、絵と数字を覚え、
1:立体に積まれた箱の数を数える
2:漢字を数字に置き換える 千九百五十八→( )
3:ひらがなの足し算をする はちたすよんたすに→( )
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7:図形を上から見たら、どういう形をしているか答える
8:展開図を組み立てると、どういう立体ができるか答える
はじめに覚えた絵と数字を回答したりして、質問が全部で10問あります。
詳しくは、下記をご覧ください。
・http://test.ninchishouyobou-k.com/
「問題の内容を理解するのに時間を要した方や問題が難しく感じた方、80点未満で不安を感じた方は専門医への受診をおすすめします。」との事です。
その他の認知症診断テスト
MMSE(ミニメンタルステート検査)
認知機能を測るための項目(算数、筆記、身近にある物の名前を言う、図形の模写)から質問をおこない、その正解率を点数化して認識力、理解力、見当識を判定します。
30点満点中、27点以下で軽度認知障害(MCI)疑い、23点以下で認知症疑いになります。
現在、長谷川式認知症スケールとならびよく使用される評価方法です。
2018年の法改正により、保険が適用されることになりましたので、病院で手軽に検査することができるようになりました。
コース立方体組みあわせテスト
赤、白、青、黄の4色に塗られた立方体ブロックを組み合わせ、課題の17パターンの模様を制限時間内にどれだけ作れるかをチェックするテストです。
もともとは聴覚や発語に障がいのある人の機能回復(リハビリ)を目的に開発されたものですが、近年はMCIの発見ツールに使用されています。
DSAC-21(地域包括ケアにおける認知症アセスメントシート)
認知機能障害と日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)に関連する項目に対し、できる、少しできる、難しい、できないといった4段階で採点をおこなうスクリーニング手法です。
家庭でのテストは推奨されていないものの、研修を受けた介護士などが実施することによって認知症疑いを知ることが可能です。
認知症疑惑のヘルパーさん、しっかり80点以上とりました!!
本人もほっとしていました。
自分の中で、忘れぽさを感じていたのかもしれません。
それはそれで良かったのですが・・・・
1人のヘルパーさんが80点以下をとってしまいました。
そのヘルパーさんは、事務所で一番高齢で、たまにケアに行くのを忘れてしまったことが過去に数回ありました。
今後は、そのヘルパーさんの様子をみんなで見ていきたいと思います。
最後に
訪問介護業界は、介護業界の中でも特に人手不足で高齢化が進んでいます。
有効求人倍率が10倍を超え(1人に対して、10人分以上の求人がきている)状態であり、ヘルパーの高齢化もすすんでおり、高齢化したヘルパーが定年で引退した場合、更なる人手不足が懸念されます。
その中で今できることは、
①定期的にこのような検査をしつつ、ヘルパーさんの健康管理を行い
②できるだけ長く働いてもらう
そのような環境を整えることが大切ですし、事業所として、良いサービスを提供するには、
「ヘルパーさんの健康管理が大事だな」
と今回の定例会を通じて感じました。
参考になれば幸いです。
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