今回は、知っていて当たり前!?ヘルパーなら必ず押さえておきたい認知症の基礎ついて書いていきたいと思います。
認知症の種類と症状にはどんなものがあるの?
BPSDって聞くけど、何かしら?
そのような疑問にお答えします!!
参考書籍
・よくわかる認知症ケア 介護が楽になる知恵と工夫 (こころのクスリBOOKS) [ 杉山孝博 ]
・驚きの「和光病院式認知症ケア」実践ハンドブック BPSD(行動・心理症状)を予防する (実用単行本) [ 和光病院 看護部 ]
認知症の診断テストについて知りたい方➡こちら
訪問介護のヘルパーなら最低限押さえておきたい必読書4冊!!
①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすい!!
②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説されており、医行為でない行為が判別できるようになる!!
③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる!!
④認知症世界の歩き方 [ 筧 裕介 ]
・認知症の方の世界の見え方を理解し、現場で生かせること間違いない良書!!
認知症の原因
【変性疾患】
アルツハイマー病、レビー小体病、ピック病などの病気によるもの。
・アルツハイマー型認知症
ベータたんぱくやタウたんぱくという異常なたんぱく質が脳にたまり、新しい記憶をためる海馬から神経細胞が壊れるため、初期の段階から記憶障害が現れる。
・レビー小体型認知症
脳の広い範囲にレビー小体という異常なたんぱくが中枢神経系と自立神経系にたまって、神経細胞が徐々に壊れていく。
幻視や妄想から始まることが多く、パーキンソン症状や自律神経症状が現れる。
・前頭側頭型認知症(ピック病)
抑制機能を持つ脳の前頭葉から縮んでいくため、抑制が外れたり、同じ行動を繰り返したり、意欲の低下が起こったりする。
側頭葉が萎縮すると言語に障害をきたすことがある。
【脳血管障害】
脳梗塞や脳出血により起こる。
・血管性認知症
麻痺などの身体の障害が起こる。言語の理解や行動が遅くなり、やる気がなくなる。
わずかな刺激でも感情が表出し、コントロールできなくなる、『感情失禁』がみられることもある。
【その他】
・正常圧水頭症・慢性硬膜下血種・脳腫瘍・甲状腺機能低下症・低酸素症・ビタミン欠乏症・電解質異常症
正常圧水頭症は、脳脊髄液の流れが悪くなり、歩行障害、失禁に加え認知症がみられる。
慢性硬膜下血腫は、頭を打った後に、内部で少しずつ出血することで起こる。
これらは、
「治療によって治る認知症」と呼ばれる。
中核症状とBPSD(行動・心理症状)
【中核症状】
すべての認知症にみられる症状。
・記憶障害
単なる物忘れではなく、覚えられないという記銘力障害が起こる。
直前に起きたことも忘れてしまう。
◎起こりやすいこと◎
・同じことを何度も繰り返す。
・探し物をよくしている。
・食べたことを忘れる。
・見当識障害
今日が、何年、何月、何日なのか?どこにいるのか?など時間や場所がわからなくなったり、人とのコミュニケーションをとることが難しくなる。
◎起こりやすいこと◎
・人物を間違える。
・トイレの場所がわからなくなる。
・今いる場所がわからない。
・実行機能障害
計画的に物事を実行する能力が低下する。
◎起こりやすいこと◎
・料理の手順がわからなくなる。
・物の使い方がわからなくなる。
・失行
動作を組み合わせることができなくなる。
◎起こりやすいこと◎
・ボタンをかけ違える。
・鍵が開けられない。
・失認
視力、聴力、触覚などの感覚に障害はないが、知っているはずの物の使い道がわからなくなる。
◎起こりやすいこと◎
・食べ物が食べ物だとわからなくなる。
・電話など知っている物の使い方がわからない。
・失語
言葉が出なくなったり、理解したり、話したりすることができなくなる。
◎起こりやすいこと◎
・会話が成立しなくなる。
【BPSD(行動・心理症状)】
ストレスが原因で起こる症状で心理症状と行動症状がある。
人によって出たり、出なかったり、個人によって現れ方も変わってくる。
・心理症状
不安・焦燥・妄想・幻覚・抑うつ
【妄想】
被害妄想は、認知症による不安や焦りによって引き起こされています。
できるだけ話を聞き、肯定も否定もしない姿勢が求められます。
・行動症状
徘徊・多動・不潔行為・収集癖・暴言暴行・介護への抵抗
【不潔行為】
排泄物で衣服や部屋を汚してしまう「弄便(ろうべん)」は、介護者を困らせてしまう問題です。
不潔行為は、失禁やおむつの違和感が原因となることもあります。
トイレの失敗を隠そうとした結果、不潔行為に及んでしまうことがあります。
対応策としては、トイレの失敗をしないためにトイレへの定時誘導や声かけをして、排便をきちんとコントロールできるようにするとよいでしょう。
BPSDの背景には、必ず何らかの中核症状があることを知っておきましょう。
また、「ユマニチュード」を活用し、介護を受ける人のBPSDの症状を改善できる技術も注目されています。
参考書籍
・ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
最後に
認知症の症状でも介護者が一番大変なのは、BPSDへの対応です。
認知症の方は、理由もなく、BPSDをするのではなく、
例えば、徘徊。
ヘルパー側から見れば、目的もなく徘徊をしている思っても、本人からすれば、「今いる場所は自分の家ではない」と思い、自分の家に帰ろうとしているのかもしれません。
ヘルパーとしては、
BPSDがなぜ起こっているのか?
利用者はどんな気持ちなのか?
を考えて本人に寄り添った支援することで症状を改善できる場合も少なくありません。
BPSDが落ち着くことで、中核症状にも良い影響を及ぼします。
認知症を理解し、その学びを実践することで、その方にあったケアを提供していきましょう。
参考になれば幸いです。
コメント