万引き癖のあるAさんの買い物同行のケアは介護保険で対応できるのか?

訪問介護
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万引き癖のあるAさんの買い物同行のケアは介護保険で対応できるのか?について書いていきたいと思います。

介護太郎
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さすがに介護保険では、対応ができないんじゃないの?

介護花子
介護花子

できそうな気もするし、できないような気もする・・・どうなのかしら??

走る介護福祉士
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そのような疑問にお答えします!!



走る介護福祉士
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はじめに

「物騒なタイトルだな・・・」

と思う方もいるかと思いますが、つい最近まで私が担当をしていた利用者の話しで、今から4年前くらい前にサービスが開始され、つい最近までサービスに入っていました。

サービス終了の理由は、タイトルにもありますが、Aさんの万引き癖が原因です。
それでは、具体的な内容を確認していきましょう!!

サービス導入の経緯

Aさんは、交通事故で足の骨折をしてしまい、リハビリを経て、自宅に復帰。
自宅への復帰に合わせて、私が働いている事業所へ、買い物同行のサービス依頼がケアマネージャーからありました。

過去の経歴を聞かされ、少し唖然としたのは、自殺歴があったことでした。
事務所内でもその情報は共有し、

「サービスに入る際には注意したほうがいいかも」
「対応力のあるヘルパーにサービスをお願いしよう!」

等、サ責4人で色々話しあいました。

サービス開始当初の担当サ責は私ではなく、先輩サ責が担当をしていたので、過去の経歴を聞かされた私は、「正直ほっとしていた」所がありましたが、最終的には私が担当することとなりました。

度重なるトラブル発生

サービス開始当初から色々なトラブルがありました。
担当ヘルパーが、ケアに遅れてしまいました(ケアに行くのを完全に忘れていた・・・)。
その件で、
「外でずっと待っていて風邪を引いた」
「病院に行くから慰謝料払ってくれ!!」
と言われてしまいました。


これは、明らかにこちらのミスで迷惑をかけてしまったので、誠心誠意、管理者、担当サ責、該当ヘルパーでお詫びに行き、許してはいただけたものの、最終的にこの該当ヘルパーは交代することとなりました。

また、
契約時の茶菓のおもてなしはお断りさせていただいていますと説明しているにも関わらず、
「お茶菓子を断った」
「私の気持ちを踏みにじられた」
と毎回丁重にお断りしているにも関わらず、最終的にはご立腹してまい、社員2人がサービスに入れなくなってしまいました。

その後、合計で8人のヘルパーが色々な理由をつけて交代させられています。
詳しいことは割愛しますが、どれも理不尽な理由です。

Aさんの性格は、頭の回転が良く、ずる賢くて、口も達者で、お金に困っている方ではありません。

ヘルパー交代の4人目くらいから、万引きが目撃されるようになります。
担当サ責がケアに入った際に、行きつけのスーパーでAさんが万引きするのを発見してしまいました。

「あまりに手慣れた手つき」
「万引きを目の前でやったという事実にびっくりしすぎて、何も言えなかった」

と担当サ責は言っていました。

さすがにこれを放っておくことはできずに、担当ケアマネージャーへすぐに連絡することになりました。
ケアマネージャーが家族や包括(地域包括支援センター)に連絡をしてくれましたが、具体的に何か行動を起こすということには至りませんでした。

その後、しばらくしてから担当サ責が私へ交代となりました。

先輩サ責交代の理由は、
「嘘をつかれ、深く傷ついた」と・・・
結果的には、嘘をついてしまったかもしれなかったですが、それはAさんを思っての先輩サ責の行動でした。

万引きは、一旦は、沈静化した時期もありましたが、再開されます。

ヘルパーの買い物同行中に何回も万引きを繰り返したり、買い物途中にミカンの木がなっている家のミカンをとってしまったり・・・
以前買ったものが腐っていたからと、商品カウンターへ何回も返品しにいったり(商品は腐っていた形跡は全くない)。

ヘルパーの買い同行の前後にも店に1人で行き、万引きをしていると他のお客さんから店側にクレームが入っていたことを後で知りました(1人で買い物に行くことができるくらいにADLは回復)。
それでも一度も捕まることなく・・・

次第にやりたい放題に色々なことをするようになってきました。

事業所としての万引きに対する対応はこうでした。

「あくまでも、買い物同行の支援に入っているので、Aさんが安全に買い物をするために事業所として支援する。」

その際、ヘルパーが万引きをしたのを見てもそれを発見するのは、店側の仕事。
ヘルパーが万引きを発見し、本人に告げても

「買おうと思ったのよ」

と言われたらそれで終わってしまいます。

また、

「名誉棄損で訴える!!」

と過去のトラブルからそのように言いかねない方でしたので、対応に本当に苦慮していました。

再び、万引きについて、包括(地域包括支援センター)や息子様に連絡し、話し合いの場がもたれることとなりました。

その席で、家族は、
「曲がったことが嫌いな母がなぜ、万引きををしたのか信じられない」
若いころ喧嘩ばかりしていた自分に対して、
「あきらめないで何度も何度も諭してくれた」
「見捨てないでいてくれた」

とても大切な母が何でこんなことをしてしまったのか・・・
と涙をこぼしていました。

最終的には、
お金があるのになぜ、万引きをするのか?
もしかしたら、心の問題ではないか?

との話になり、専門機関で相談することとなりました。
その後、改善されるようであれば、その時に、必要なサービスを検討することとなり、訪問介護のサービスは終了となりました。

最後に

現実問題、1人でも買い物に行けるADLまで回復(1人でも買い物に行ったり、友達と外出しているところを何度も目撃されている)しています。
万引き行為がヘルパーに対しての精神的苦痛を与え、契約解除の事由に該当することを考えると、事業所として、サービスを継続する必要性はないとの結論が出ていました。

担当ヘルパーに多大なる迷惑をかけてしまった、我慢して最後までサービスに行ってくれたヘルパーには感謝しかありません。

最後までサービスに行ってくれた2人のヘルパーにAさんのことを聞くと、
「万引きさえ無ければ悪い人ではないのよ!!」

と2人とも口を揃えて言っていました。

問題は解決していませんが、個人的には、ほっとした面があるものの、今後のAさんと息子さんのことを考えるとやるせない気持ちになり、少し後味が悪いものになってしまいました。

色々と考えさせられる出来事となりました。

参考になれば幸いです。



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