今回は、これさえわかればもう迷わない訪問介護のグレーゾーン!?について書いていきたいと思います。
訪問介護のケアで、何ができて何ができないのか?あいまいで分かりずらい・・・
訪問介護のグレーゾーンの基本的な考え方はあるのかしら?
そのような疑問にお答えします!!
参考書籍
・Q&A訪問介護サービスのグレーゾーン第2次改訂版 適正な介護サービス費の算定に関するガイドライン [ 能本守康 ]
できる介護職を目指すなら最低限押さえておきたい必読書4冊!!
①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすく解説している介護職の必読書!!
②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説。医行為でない行為が判別できるようになるサ責の必読書!!
③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる介護職の必読書!!
④認知症世界の歩き方 [ 筧 裕介 ]
・認知症の方の世界の見え方を理解し、現場で生かせること間違いない良書!!
はじめに
老振第76号と医政発第0726005号の厚生労働省医政局長通知で訪問介護の介護保険の対象になるサービスが定められています。
生活スタイルは十人十色で、あいまいなものです。
このあいまいな性格の対象を支援するという点が、訪問介護のグレーゾーンを生んでしまいます。
介護保険は、税金と保険料で成り立っており、かぎりある税金と保険料で行われるサービスであるため、その人にとって本当に必要な支援で、かつ、最低限の生活を営むことができる支援であるべきだと考えられています。
判断に迷う3つの場面
【1】「直接本人の援助」かどうか
主として家族の利便に供する行為または家族が行う事が適当であると判断される行為
・利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し
・主として利用者が使用する居室以外の掃除
・来客の応接(お茶、食事の手配等)
・自家用車の洗車・清掃 等
※一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例(不適切事例)
具体例
Q:ドックフードを買ってきて欲しいと頼まれた場合はどうすれば良いですか?
A:ペット用品など利用者以外のものに係る買い物は、介護保険の対象にはなりません。
ペットの世話は、ヘルパーが行わなくても日常生活を営むのに支障がないと判断される行為です。
かわりに利用者本人が電話をかけて配達を依頼したり、ネットで注文したりするのをサポートするという解決策もあります。
Q 片麻痺の利用者から「玄関の外の階段が滑りそうなので掃除してほしい」と言われました。同居する家族も使う場所なのですが・・・
A 家族と共用の玄関外の掃除は、一般的に介護保険の対象外となりますが、家族の状況や、利用者本人が足を滑らせる危険などを考慮して個別に見きわめましょう。
必要性を市町村に相談し、介護保険の対象になることもあります。
玄関の階段は家族も使う場所であり、「直接本人の援助」に該当しない行為であり、毎日掃除するような場所でないことから「日常的に行われる家事の範囲を超える行為」でもあるため、介護保険のサービスとして認めない市区町村が多いでしょう。
ただし、家族が病気・障害などにより掃除ができないという状況や、現実問題として例えば苔が生えて歩くのが危険であるなど、利用者のニーズを市区長村に相談し、認められることもあります。
へるぱるスタート準備号から引用
【2】「日常生活の援助」かどうか
「日常生活の援助」に該当しない行為
①訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障がないと判断される行為
・草むしり
・花木の水やり
・犬の散歩等ペットの世話 等
②日常的に行われる家事の範囲を超える行為
・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
・大掃除、窓のガラス拭き、床のワックスがけ
・室内外家具の修理、ペンキ塗り
・植木の剪定等の園芸
・正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理 等
※一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例(不適切事例)
具体例
Q:エアコンのフィルターの掃除を頼まれましたが、すぐに終わるので、掃除をしても大丈夫でしょうか?
A:「日常的に行われる家事の範囲を超える行為」として、介護保険の対象になりません。
利用者本人には、丁寧にできない旨を説明し、ケアマネージャーに相談して、業者を探してもらうのが良いでしょう。
Q:仏壇のお手入れを頼まれた場合どうしたら良いのでしょうか?
A:「日常生活の援助」に該当しない行為と解釈され、対応できません。
仏壇の手入れや花の水替えは一般的に「日常生活の援助」として認められません。
ただし、介護が必要になる前から、毎日、仏壇に手を合わせ、手入れをしていた場合は、市区長村に相談することで、日常生活の範囲内と認められることがあります。
【3】「非医行為」かどうか
「医行為はできないが原則」で、「非医行為」は例外です。
平成17年7月26日医政発第0726005号・厚生労働省通知にて
【原則として医行為でないと考えられるもの】として、ヘルパーができる非医行為が示されています。
非医行為は、利用者の健康や生命にかかわることなので、ケアマネージャーや医療関係者と密に連絡をとり、利用者にも了承を得たうえで、慎重に行いましょう。
具体的にヘルパーができる非医行為については、ヘルパーができる医行為でない行為!?をご参照ください。
【訪問介護の個別ケアに関するグレーゾーン】
・入浴介助のグレーゾーン・買い物代行のグレーゾーン
上記も参考にしてみてください。
最後に
訪問介護のグレーゾーンに遭遇したときに、
【1】「直接本人の援助」かどうか
【2】「日常生活の援助」かどうか
【3】「非医行為」かどうか
3つの視点で理解し、判断して、事業所と利用者側の双方にとって納得できる解決策を探していきましょう。
現場のヘルパーで、訪問介護のグレーゾーンに遭遇し、判断に迷う時は、サービス提供責任者に確認しましょう。
その場で確認できる時は、その場で確認してください。
その場で、確認できない時は、その場では、依頼されたことは行わず、事務所に持ち帰り、後日の対応としたほうが良いでしょう。
サービス提供責任者で、判断に迷う状況であれば、先輩や同僚に相談しましょう。
それでも判断に迷う場合は、役所に確認するべきです。
その際、答えてくれた役所の方の名前もしっかり聞いておいてください。
(ケアマネージャーのプランに、役所の方に確認をとった旨を記載してもらったほうが間違いがありません。)
介護保険のルールを守って、適切なケアを提供していきましょう!!
参考になれば幸いです。
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