1人で要介護の夫婦の外出介助はできるのか?外出介助のグレーゾーン

訪問介護のグレーゾーン
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今回は、1人で要介護の夫婦の外出介助はできるのか?外出介助のグレーゾーンについて書いていきたいと思います。

介護太郎
介護太郎

外出介助って自宅の外でサービスを提供しているけど、何で訪問介護でできるんだろう?

介護花子
介護花子

体重が重い人の外出介助は2人対応でできるのかな?

走る介護福祉士
走る介護福祉士

そのような疑問にお答えします!!



走る介護福祉士
走る介護福祉士

訪問介護のヘルパーなら最低限押さえておきたい必読書3冊!!

①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすい!!

②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説されており、医行為でない行為が判別できるようになる!!

③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる!!

外出介助とは

外出介助とは、介護保険におけるサービスで、身体介護に分類されているサービスです。

外出介助が必要な利用者(下肢筋力が低下し、一人で外出するのに不安があったり、認知症などにより道がわからなくなってしまう等の理由がある方)とともにヘルパーが、介助を行いながら安全に外出できるように支援します。

そもそも、訪問介護は、原則として利用者の自宅内で提供するサービスです。
しかし、通院や買い物など、一部は例外的に自宅の外でも認められています。

介護保険制度による条件は、

原則として、
自宅を起点とし、
自宅を終点とすること

となります。

さらに

外出する目的が明確である
その目的は、利用者本人の療養のための日常生活をするうえで、欠かせないものである

ことが必要となります。

【 外出が認められる目的】

①利用者本人の療養生活において、日常的に欠かせない必需品の買い物
〇➡食料品やトイレットペーパー、洗剤などの生活必需品や普段着など。
✖➡娯楽品やお酒やたばこ、家具や家電。外出着など。

②利用者本人の療養生活において、欠かせない外出
〇➡銀行での生活費や年金の引き出し、役所での手続き、選挙の投票など。
✖➡墓参り、冠婚葬祭への参列、趣味目的の活動や外食など。

※※ここに注目※※

これまでは、「散歩」は単に気分転換や暇を持て余しての行動とみなされ、不可とされてきました。しかし、一部で議論がされた結果、

「歩行訓練や引きこもり防止のための散歩」

であれば、可能とされる場合もあるようです。

外出介助の注意点

外出介助は、体を支えたり、車椅子を押したりといった身体的な介助が必要となります。
体を支えながら移動することは、大変な危険を伴います。

【目的地までの下見】

外出ルートの決定と距離、危険箇所の確認等、前もって把握しておくのが、ベストでしょう。

・外出する時間帯の交通量や歩行者の状況
・歩道の有無や段差などの路面状況

【サービスの提供時間】

利用者の状況により条件は異なりますが、無理のない設定で行うことが大前提となります。
基本的には、介護保険内で行う外出介助は、1時間くらいが妥当でしょう。
それ以上の時間が必要である場合は、正当な理由があれば、1.5時間サービス時間としてとれるかもしれません。


遠距離の場合はサービス時間が長くなり、介護保険では対応できなくなります。

自費での対応でなら可能となりますが、事前に担当者会議などで話しあっておいたほうがよいでしょう。
必要なら、保険者に確認しておいたほうが良いでしょう。

【その他】

天候不良時には、予定しているサービスを実行するかどうか事前に決めておいたほうが良いでしょう。

外出介助のグレーゾーン【Q&A】

Q1:体重が重く、坂が多い地域に住んでいる車椅子の利用者の買い物介助は、2人体制で担当しても良いのでしょうか?

A:2人体制での支援は可能ですが、しっかりとした根拠が必要です。

【解説】
食料品等の日常生活に必要なものを購入するのであれば、外出介助としての対応は可能です。
さらに坂道が多く、最短距離のスーパーでも片道30分かかるのであれば、1人対応で体力的に厳しいのであれば、2人対応が認められるでしょう。

その際のサービス時間も1.5時間~2時間くらいであれば、認められるでしょう。(通常は1時間くらいが妥当なサービス時間)

Q2:要介護のご夫婦の利用者の外出介助ですが、2人とも歩行は可能なため、1人で2人の外出介助を担当しても大丈夫ですか?

A:介助そのものはできます。ただし、ヘルパー1人で対応した場合は、2人分の算定はできません。

【解説】
ヘルパー1人で2人の介助をするのであれば、1人分は無償になりますが、対応は可能です。
2人分算定可能にするのであれば、ヘルパーも2人で対応することになります。
ちなみに、1人を介護保険サービスで請求し、もう1人を自費で請求することはできません。
なぜなら、介護保険の給付と同じ時間にヘルパーが自費を算定することはできません。
この場合、2人とも自費対応なら可能です。

Q3:電動シニアカーを使用している利用者に付き添う形で外出介助はできますか?

A:外出介助として対応することはできません。自費サービスが妥当でしょう。
外出介助は身体介護です。身体介護とは、直接身体に触れる行為です。この利用者の場合、電動シニアカーでの移動が可能なため、身体的な介助は必要ないと解釈できます。

こう考えよう!!

ご存じの通り、老計第10号において、外出介助は身体介護に分類されています。
この利用者の場合、歩行が困難とはいえ、「室内歩行はつかまるものがあれば可能。屋外も庭先程度なら杖歩行が可能」という状況です。
電動シニアカーの乗降も運転もできるので、身体介護には該当しません。
~中略~
よって自費での対応になるでしょう。

へるぱる2020.1・2月号引用

最後に

外出介助といっても、ただ用を足す目的を達成するために外出するだけでなく、外に出ることで、心身共にリフレッシュしたり、社会とのつながりが持てるといった効用も期待できます。また、引きこもり防止に役立つ面もあります。
そういった面にも注目しましょう。

利用者の状況や環境は日々変わるため、訪問介護では「あいまいゾーン」、「グレーゾーン」がどうしても生じてしまいます。
外出介助のグレーゾーンだけでなく、他にも様々なグレーゾーンがあります。
気になる方は、下記も参考にしてみてください。

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ルールを守って安全に外出介助をしましょう!!

参考になれば幸いです。



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