加齢黄斑変性症とルセンティスの注射について

疾患
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今回は、加齢黄斑変性症とルセンティスの注射についてまとめていきたいと思います。現在、最も有効とされる治療法です。

私が加齢黄斑変性症について調べようと思ったのは、2~3ヵ月に1回くらいの頻度で依頼のある、自費のケアでの眼科受診の同行に行く、ある利用者さんのケアに関わるようになってからです。

定期的に眼科に受診し、眼に注射を打つ、考えただけでも恐ろしいですが、利用者さんは「もう慣れたわ」と笑顔でいつも言われます。

目次

1:目の構造とはたらき

【1】物が見えるしくみ【2】黄斑について

2:加齢黄斑変性症とは 

【1】脈絡膜新生血管とは【2】滲出型【3】萎縮型

3:加齢黄斑変性症はなぜ起こるのか?

【1】加齢黄斑変性性の要因【2】日本でも増えている加齢黄斑変性

4:症状について

5:検査方法

6:治療法と料金について

7:最後に

1:目の構造と働き

【1】物が見えるしくみ

物が「見える」とは、眼から入った光が脳に伝えられ、映像として認識されることをいいます。

まず、「瞳孔」から入った光⇒「水晶体」で屈折⇒「硝子体」を通り⇒「網膜」に到達。「網膜」に到達した光は電気信号に変換⇒「視神経」を通じて脳に伝わり、映像として認識

【2】黄斑について

「黄斑」とは網膜の中心部にあり、物を見るために最も重要な部分です。黄斑に異常をきたすと視力が悪くなったり、形や色など見え方も悪くなります。

黄斑の中央には小さなくぼみがあります。この部分を「中心窩」といいます。この部分に異常が生じると、視力の低下がさらに深刻になります。

2:加齢黄斑変性症とは

黄斑の加齢に伴う変化によって起こる疾患で、高齢者の視覚障害の原因の1つです。脈絡膜から発生する新生血管(脈絡膜新生血管)を伴う「滲出型」細胞の組織が徐々に委縮する「委縮型」に分類されます。

【1】脈絡膜新生血管とは

網膜に栄養を送る脈絡膜の既存の血管から発生する新しい血管(新生血管)のことです。

ブルッフ膜を通り、網膜色素上皮細胞の上や下に伸びていきます。この新生血管は正常な血管ではないため、血液の水分(滲出液)が漏れ出たり、血管が破れて出血を起こしやすくなります。

【2】滲出型

脈絡膜新生血管が発生し、黄斑が障害されます。

症状の進行が早く、急激な視力低下をきたします。早期に検査と治療を行うことが重要になります。

【3】萎縮型

加齢によって網膜色素上皮細胞とブルッフ膜の間に老廃物がたまり、網膜の組織が徐々に萎縮していきます。

症状の進行は緩やかで視力もすぐに悪くなりません。しかし、新生血管が発生することもあるので、定期的に通院して検査を行う必要があります。

3:加齢黄斑変性症はなぜ起こるのか?

【1】加齢黄斑変性性の要因

病名に「加齢」という言葉がつくことからも年齢が高くなると発症しやすくなります。特に、黄斑や網膜色素上皮細胞などの老化が原因と考えられています。

また、喫煙者は発症する頻度が高いことがわかっています。太陽光、高血圧、偏った食生活、遺伝などの関与も指摘されています。

原因

・加齢 ・高血圧 

・肥満 ・喫煙 ・高脂肪食

・太陽光 ・遺伝

【2】日本でも増えている加齢黄斑変性

加齢黄斑変性性は先進国において失明のおもな原因となっており、アメリカでは中途失明をきたす病気の第1位にあがっています。

日本ではこれまで患者さんの数は比較的少数でしたが、高齢者の増加や生活様式の欧米化などにより患者さんの数がとても増えています。特に進行の早い「滲出型」の患者さんの増加が顕著です。

4:症状について

□変視症 物がゆがんで見える

□色覚異常 色の区別がつきにくい

□中心暗転 見ているものの中心が暗い・欠けてみえない

□視力低下 見たいものがはっきり見えない

5:検査方法

□問診

・どのような症状か

・いつごろ症状が始まったか

・今までにかかったことのある病気

・家族歴

・現在治療中の目の病気、全身の病気

・喫煙歴

□視力検査

視力表を用いて測定

ほかに、眼底検査、蛍光眼底造影、網膜断層検査があります。

6:治療法と料金について

【抗VEGF療法】ルセンティスはこの治療法に当たります

眼の中にあるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が新生血管を成長させたり、血液の成分を漏れやすくします。このVEGFの働きを抑えるために眼内に薬剤を注射し、脈絡膜新生血管の成長や血液の成分の漏れを抑えます。

<導入期>月1回ルセンティスを白目の部分から目の中心の硝子体という場所に向けて注射。これを3ヵ月間繰り返します。

<維持期>眼の診察や検査で症状を見ながら、必要に応じて注射。必要に応じて、月1回、視力検査と眼底検査、場合により網膜断層検査を行います。

料金 健康保険が適用され、70歳以上の方は、窓口での上限があり、1割負担で約14,000円 3割負担で約57,000円

その他【光線力学的療法(PDT)】や【レーザー光凝固術】があります。

7:最後に

現在、最も有効とされる治療法のルセンティスの注射。利用者さんにお聞きしても、注射をしたあとは、良く見えるようになると言われます。

加齢によるものは仕方がないと思いますが、日常生活から予防できる危険因子もあります。

・たばこは控える・サングラスなどで日光から目を守る・バランスの良い食事を心がける

ことが大事になります。

人にとって眼は、とても大切な感覚器です。眼が見えずらくなる、失明すると、通常の日常生活が送れなくなり、生活のQOLが著しく下がります。

健康を失ってからでは、遅いのです。利用者さんと接していて、いつも健康に対する考え方を改めさせられる日々です。

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