憎めない人柄のHさん、入院から施設入所へ

疾患
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今回は、憎めない人柄のHさん、入院から施設入所へについて書いていきたいと思います。

Hさんとの出会いは、3年くらい前になります。

一軒家で独居の男性のHさん。早くに奥様を亡くされ、男手一つで、二人の息子様を育ててこられました。中学校の校長先生として仕事も頑張られ、自宅には、教え子さんからの手紙や同窓会の案内状が良く届いていました。

穏やかな性格で、憎めない愛嬌のある方ですが、人との交流はあまり求めず、静かに家で暮らしていきたいという気持ちの強い方でした。理由をたずねると、「たくさんの人と関わる仕事だったから、人と関わるのが面倒くさくなってしまった」と言わていました。

高齢の男性の一人暮らしにありがちな片付けられていない部屋で、自分の手の届く位置に、リモコンや食べものなどの色々なものが置かれ、散乱しており、足の踏み場もな状態でした。冷蔵庫は賞味期限切れの食べ物であふれていました。

そんなHさん、息子様からのSOSで私が働いている事業所にケアマネさんからサービスの依頼の連絡がありました。

まずは、片付いていない部屋の片づけ、入浴もしっかりできていない様子でしたので、入浴介助や買い物代行、買い物同行の援助。

また、服薬がしっかりできていないので、服薬確認などの内容で、週2回からケアがスタートしました。

あまり、人との交流を持ちたくないHさんからの要望で、週に2回となりました。本当であれば、もっと回数を入れる必要性がありましたが、Hさんがどうしても首を縦にふりませんでしたので、Hさんの意見を尊重して、上記のようになりました。

そんなHさんの病気の中で、一番注意しなければいけないのが、糖尿病です。インシュリンを打つ必要がありますが、全く打てておらず、針がたくさん余っています。おまけに食生活がかなり乱れており、服薬もできておらず、改善の必要性があります。まずは、食事をしっかりとる、服薬をする、習慣をつけてもらうことから始めていきます。

食事に関しては、糖尿病の方用の配食弁当を、服薬に関しては、服薬カレンダーを活用していきます。訪問看護さんも週に1回服薬のセットや健康管理でケアに入りました。

ヘルパーもHさんを思って、しつこいくらい食事や服薬の手伝いや声掛けをしていきます。その効果もあり、少しずつ、定期的な食事、服薬が習慣になり、インシュリンをしないで、服薬だけで良くなるくらい血糖値が安定していきます。その間、半年かからないくらいです。

インシュリンを打たなくても良くなり、安心してしまったTさん。油断して食生活が乱れ(近所のスーパーに毎日のように買い物に行き、以前のように好きなものを買ってきてしまう)、服薬もしっかりしない日が多くなり、血糖値が安定しなくなります。

週に2回のサービスでは、しっかり服薬ができなくなり、毎日ケアに入る事になりました。

入浴や買い物、掃除がある日は、長い時間のサービスで、それ以外の日は、20分未満の身体0のケアで、服薬介助、服薬確認で入る事になります。

服薬は、しっかりできるようになりましたが、食生活の乱れは、改善できず、透析を導入しないといけないくらい腎機能が低下し、結局、入院することになってしまいました。

3年近く担当させてもらい、結果的に入院となってしまったことは残念でしたが、もう少し、Hさんにできることはなかったのか、色々考えてしまいます。

今回、Hさんが入院する原因の元になってしまった糖尿病について少しまとめていきたいと思います。

目次

1:糖尿病ってどんな病気?

2:糖尿病の症状は?

3:糖尿病の治療方法

4:ケア時に気を付けるポイント

1:糖尿病ってどんな病気?

〇糖尿病とは、血液中の血糖値が高いままになる病気です。血糖値とは血液中にブドウ糖がどのくらいあるか示すものです。

ブドウ糖は、血液を流れて細胞に運ばれ体を動かすエネルギー源になります。このブドウ糖がうまく処理されないと、血液の中にたまり血糖値が上がってしまいます。

〇血糖をコントロールしているのが、インスリンというホルモンです。インスリンが不足したり、うまく作用しないために血糖値が上がってしまうのが糖尿病なのです。

〇糖尿病にはインスリン欠乏による「1型糖尿病」とインスリンがうまく働かない「2型糖尿病」があります。

日本人の大多数を占める2型糖尿病は、食べすぎ・飲みすぎ・運動不足・ストレスなどの生活習慣に深く関係していると言われています。

〇血糖値が高い状態が長く続くと、血管が傷ついて合併症を起こしやすくなります。

三大合併症として、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害があります。

Hさんは、糖尿病性腎症の一歩手前の状態になってしまいました。

2:糖尿病の症状は?

症状が初期の段階では、ほとんど症状がありません。進行すると、のどが渇く、尿量が多くなる、体重が減少するなどの症状がみられます。

合併症に伴い、次のような症状が出てきます。

網膜症:視力低下

腎症:尿量が多くなる、むくみ、食欲不振、体がだるい、息切れなど

神経障害:痺れ、痛み、立ちくらみ、胃のもたれ、便秘など

3:糖尿病の治療方法

血糖値のコントロールのために治療法には次に3つがあります。

食事療法:基本となる治療法。ポイントは「適正な摂取エネルギー(カロリー)と「栄養バランス」です。

運動療法:有酸素運動が効果的。ただし、介護が必要な高齢者等には適さない場合があります。

薬物療法:内服薬とインスリン注射があります。

4:ケア時に気を付けるポイント

治療方針に沿った生活を支援しよう!!

・医師や栄養士の指導のもと、献立を作成・調理する。※カロリー制限があることが多いが基本的に食べていけない物はない。各栄養素をバランス良く食べることが大切。

・食事制限を感じさせない調理の工夫をする。(油を使わない調理法、彩りよく盛り付ける等)

・食事は良くかんで、楽しく召しあがっていただく。

空腹時の入浴や運動は血糖値が下がるので避ける。

・足の血行が悪く壊疽になる場合があるので、日頃から皮膚や爪の状態を観察する。

・食事、水分摂取量、服薬の状況を確認する。

〇低血糖に注意しよう!!

薬(インスリン等)の量を間違えたり、食事を抜いたり、空腹時に運動をすると低血糖になるので注意する。

<<低血糖の症状>>

動悸、手足のふるえ、冷や汗、イライラ、ぼーっとする、昏睡、けいれん、麻痺

<<対応>>

・食事の量や服薬時間を守る

・低血糖が起きた時の対処方法をあらかじめ、確認しておく。

参考にしてみてください。

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