今回は、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等(身体介護)について書いていきたいと思います。
自立支援も身体介護だけど、ほかに、体に触れる以外の身体介護ってあるの?
排泄介助や清拭にかけられる時間はどれくらいなの?
そのような疑問にお答えします!!
・訪問介護に必要なスキル(身体介護)を身につけたい方➡こちら
・訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等(生活援助)について知りたい方➡こちら
参考文献
・へるぱる 2020年 1・2月 [ 世界文化社 ]
できる介護職を目指すなら最低限押さえておきたい必読書4冊!!
①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすく解説している介護職の必読書!!
②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説。医行為でない行為が判別できるようになるサ責の必読書!!
③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる介護職の必読書!!
④認知症世界の歩き方 [ 筧 裕介 ]
・認知症の方の世界の見え方を理解し、現場で生かせること間違いない良書!!
介護保険制度下の訪問介護として「できること」を示した、介護保険の関連通知
「老計第10号」
訪問介護事業所のサービス提供責任者およびホームヘルパーが、サービスを提供する上で指針となる内容が記載されています。
それでは、具体的にみていきましょう。
身体介護とは
【1】利用者の身体に直接触れて行う介助サービス(そのために必要となる準備、後片付け等の一連の行為を含む)
【2】利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス
【3】その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)を持って行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。
(仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要となる行為であるということができる。)
※例えば、入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。
同様に、「特段の配慮を持って行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。
【サービス準備・記録等】<5分を目安>
健康チェック
□利用者の安否確認 □顔色・発汗・体温等の健康状態
環境整備
□換気、室温・日当たりの調整 □ベット周りの簡単な整理等
相談援助、情報収集・提供
□相談援助、情報収集・提供
サービス提供後の記録等
□サービス提供後の記録等
【排泄介助】
(トイレ利用)<10分を目安>
□トイレまでの安全の確認⇒声掛け・説明⇒トイレへの移動(見守り含む)⇒脱衣⇒排便・排尿⇒後始末⇒着衣⇒利用者の生活介助⇒居室への移動⇒ヘルパー自身の清潔動作
(Pトイレ利用)<5~10分を目安>
□安全確認⇒声掛け・説明⇒環境整備・防水シートを敷く・つい立てを立てる・Pトイレを適切な位置に置く⇒立位をとり脱衣(失禁の確認)⇒Pトイレへの移乗⇒排便・排尿⇒後始末⇒立位をとり着衣⇒利用者の清潔介助⇒元の場所に戻り、安楽な姿勢の確保⇒Pトイレの後始末⇒ヘルパー自身の清潔動作
(おむつ交換)<10分を目安>
□声掛け⇒物品の準備・おむつを開く・尿取りパットをとる⇒陰部・臀部の洗浄・皮膚の状態などの観察・パッティング・乾燥⇒おむつの装着⇒おむつの具合の確認⇒着衣⇒汚れたおむつの後始末⇒使用物品の後始末⇒ヘルパー自身の清潔動作
【全身浴】<45分を目安>
□安全確認⇒声掛け・説明⇒浴槽の清掃⇒湯はり⇒物品準備(タオル・着替え等)⇒ヘルパー自身の身支度⇒排泄の確認⇒脱衣室の温度確認⇒脱衣⇒皮膚等の観察⇒浴室への移動⇒湯温の確認⇒入湯⇒洗体・すすぎ⇒洗髪・すすぎ⇒入湯⇒体を拭く⇒着衣⇒身体状況の点検・確認⇒髪の乾燥、整髪⇒浴室から居室への移動⇒水分補給⇒汚れた衣類の処理⇒浴槽の簡単な後始末⇒使用物品の後始末⇒ヘルパー自身の身支度・清潔動作
【洗面等】<5分を目安>
□洗面所までの安全確認⇒声掛け・説明⇒洗面所までの移動⇒座位確保⇒物品準備・歯ブラシ・歯磨き粉・ガーゼ等⇒洗面用具準備⇒洗面(見守り含む)⇒使用物品の後始末⇒ヘルパー自身の清潔動作
【身体整容】<5分を目安>
□声掛け・説明⇒鏡台等への移動(見守り含む)⇒座位確保⇒物品準備⇒整容・手足の爪切り・耳掃除・髭の手入れ・髪の手入れ・簡単な化粧⇒使用物品の後始末⇒ヘルパー自身の清潔動作
【更衣介助】<5分を目安>
□声掛け・説明⇒着替えの準備(寝間着・下着・外出着・靴下等)⇒上半身脱衣⇒上半身着衣⇒下半身脱衣⇒下半身着衣⇒靴下を脱がせる⇒靴下を履かせる⇒着替えた衣類を洗濯物置き場に運ぶ⇒スリッパや靴下を履かせる
【自立支援のための見守り的援助】内容により目安の時間は変わる
自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介護できる状態を行う見守り等
□利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声掛け、疲労の確認も含む)
□入浴・更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声掛け、気分の確認なども含む)
□ベットの出入り時などの自立を促すための声掛け(声掛けや見守り中心で必要な時だけ介助)
□移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に身守る)
□車椅子での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるように援助
□洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることによって、自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声掛けを行う
□認知症の高齢者の方と一緒に冷蔵庫の中の整理等を行うことにより、生活歴の換起を促す
自立支援について詳しく知りたい方➡こちら
身体介護にはさまざまなものがあり、
上記以外にも
・全身清拭<30分を目安>
・部分浴(手浴・足浴)<10分~15分を目安>
・体位変換、移乗介助、移動介助<5分を目安>
・服薬介助<5分を目安>
・食事介助<10分~15分を目安>
・水分補給<5分~10分を目安>
・喀痰吸引、胃ろう経管栄養<5分~10分を目安>
・専門的配慮の調理<30分~45分を目安>
・起床介助、就寝介助<30分を目安>
あくまでも目安の時間であり、利用者の体の状態によっては、時間が長くなったり、短くなったりすることは十分に考えられます。
継続的に目安の時間より、明らかに長くなる場合には、介助方法を見直したほうがいいかもしれません。
必要ならば、「目安の時間より長くなる旨」役所に相談・確認したほうがよいでしょう。
身体介護の区分
上記のサービスにかけることができる時間を目安に、本人、家族の要望を聞きながら、ケアマネージャーと相談し、サービス内容を決定し、サービスを組み立てていきます。
身体0 20分未満
例:【定期的な服薬(内服・点眼等)等】
独居で定期的な内服ができない、白内障の術後の点眼をするのが難しい等
身体1 20分以上30分未満
例:【排泄介助+部分清拭・水分補給・洗面等、DSやSSへの送り出し等】
『1:身体介護とは』で上げた目安の時間を参考にサービスを組み合わせていきます。
身体2 30分以上60分未満
例:【入浴介助、買い物同行、共に行う家事援助(掃除、洗濯、調理)、全身清拭+更衣介助+排泄介助等】
『1:身体介護とは』で上げた目安の時間を参考にサービスを組み合わせていきます。
身体2から、30分単位で時間が増えていきます。
身体3 60分以上90分未満
例:【排泄介助+食事介助+水分補給+服薬介助+更衣介助等、身体0~身体2までのケア内容の組み合わせが多い】
『1:身体介護とは』で上げた目安の時間を参考にサービスを組み合わせていきます。
身体4 90分以上120分未満
例:【買い物同行+入浴介助、共に行う家事援助(掃除、洗濯、調理)+買い物同行等、身体1~身体3のケア内容の組み合わせが多い】
『1:身体介護とは』で上げた目安の時間を参考にサービスを組み合わせていきます。
身体5以上はあまり利用される機会はありません。
身体4以上のケアの時間設定とケアの内容の妥当性について実地指導では特に注意深く見られます。(経験談)
最後に
ケアの内容に基づいて、目安となる時間が決められているので、それに基づいてケアを組み立てていくのが基本となります。
あくまで、基本なので、例外も認められます。
その際は、しっかりとした根拠が必要ですし、役所への確認も必要となります。
しっかりとルールに基づいてサービスを提供していきましょう。
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