今回は、ヘルパーは利用者の白髪染めをできるか否か?身体整容のグレーゾーンついて書いていきたいと思います。
髭剃りする時は、T字型の髭剃りを使っていいの?
化粧をして欲しいと頼まれたけど、やっても大丈夫なのかしら?
そのような疑問にお答えします!!
訪問介護のヘルパーなら最低限押さえておきたい必読書4冊!!
①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすい!!
②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説されており、医行為でない行為が判別できるようになる!!
③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる!!
④認知症世界の歩き方 [ 筧 裕介 ]
・認知症の方の世界の見え方を理解し、現場で生かせること間違いない良書!!
身体整容とは
身の回りを整えることです。
具体的には、下記の内容が該当します。
・整髪
・髭剃り
・爪切り
・簡単な化粧
・耳や鼻の手入れ
具体的な耳の手入れ方法については、下記を参考にしてください。
・ヘルパーができる医行為でない行為⑨耳垢の除去
効果
清潔を保つだけでなく、生活リズムを整えたり、生活意欲を高めたりする効果があり、とても重要な役割を持っています。
さらに、
他人と接するために身だしなみを整えることは、社会参加につながり、利用者の心理的・精神的な自立にも結びつきます。
身体整容の注意点
利用者が今まで行ってきた習慣やこだわりを理解し、ヘルパーの価値観や判断で介助しないことが大切です。
大事なことは、
介護保険制度において、できる範囲内で対応すること。
身体整容のグレーゾーンを理解すること。
・整髪
好みの髪型、髪のとかし方、使用するクシ、整髪料をつけるかどうか、ドライヤーの使い方など。
NG→専門的な技術や時間がかかるセットは不適切
・爪切り
どの程度切るか?どういう形状に切るか?ヤスリをかけるか?
NG→巻き爪、陥入爪、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人などは医療職による対応が必要!!
爪の切り方や管理方法については、こちらを参考にしてください。
・ヘルパーができる医行為でない行為⑦爪の管理
・髭剃り
シェービングクリームの使用の有無や量、髭剃り後にローションを使用するのか?
NG→T字髭剃りは、理美容師法などとの関係や皮膚を傷つける危険性があるため不適切。
・簡単な化粧
個人差が大きいので、好みや希望を聞き取りしてから対応する。
NG→一概に制限はありませんが、化粧をする度合いによっては不適切。
危険を伴う場合や程度を超えた行為は、介護職では対応できません。
身体整容のグレーゾーン
Q:スプレータイプの白髪染めで、髪を染めてほしいとお願いされました。引き受けても問題ないですか?
A:スプレータイプであれば可能です。しかし、その場での対応は確認を要します。
髪にまんべんなく吹きかけるだけなら対応できるでしょう。しかし、訪問介護計画書に「白髪染め」が記載されていなければ、事業所に確認してからおこなうようにしましょう。◆こう考えよう◆
へるぱる2019.11.12月号より引用
スプレータイプであれば、整髪料を使うのと大差なく、時間的にも1~2分でしょうから、サービス提供時間に影響はないでしょう。ただし、他にも様々な作業が伴い、時間がかかるようであれば、スプレー対応でも不適切と判断されます。
~中略~
クリームやムースタイプなど、染めるのに時間を置く必要がある場合、手が込んだ対応となるので不適切と判断します。
訪問理美容などの活用をすすめましょう。
【体験談】
こんなことが現場で実際にありました。
入浴介助を利用されている足腰が不自由で、手の動きがあまり良くない女性の利用者。
ヘルパーが訪問する前に
「自分で白髪染めをするので、入浴介助の時に白髪染めを洗い流してから洗髪してほしい」との要望がありました。
これを聞いたとき、一瞬判断に迷いましたが、ヘルパーが白髪染め(その方は、時間をおく必要があるムースタイプを使用していた)をするわけでもなく、かつ、介護職が対応できる程度を超えた行為でもないので、普通に入浴介助の時に白髪染めを洗い流してから洗髪対応しました。
その他の個別行為のグレーゾーンが気になる方は下記を参考にしてください。
・これさえわかればもう迷わない訪問介護のグレーゾーン!?
・1人で要介護の夫婦の外出介助はできるのか?外出介助のグレーゾーン
・自宅のお風呂が壊れた場合、温泉施設で入浴介助できるの?入浴介助のグレーゾーン
・この5つを知ればもう判断に迷わない、買い物代行のグレーゾーン
最後に
身体整容は、整髪・髭剃り・爪切り・簡単な化粧・耳や鼻の手入れ等、生活するうえでどれも基本的な行為で、細々とした行為です。
細々とした行為ですが、清潔を保つだけでなく、生活のリズムを整えたり、生活意欲を高めたりするなど、重要な役割を担っています。
利用者の好みや主体性を尊重しながら、決してヘルパーの価値観を押しつけず、ルールを守ってケアをしていきましょう!!
参考になれば幸いです。
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