ヘルパーとして最低限知っておくべき血圧の基礎知識

疾患
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今回は、ヘルパーとして最低限知っておくべき血圧の基礎知識についてまとめていきたいと思います。

介護太郎

高血圧って、どのくらいの値が高血圧にあたるのかな?

介護花子

高血圧になると、体にどのような悪影響がでるのかな?

走る介護福祉士

そのような疑問にお答えします!!



参考書籍
高血圧の学びなおし本 [ 渡辺 尚彦 ]
NHKためしてガッテン 脱・高血圧の「超」特効ワザ (生活シリーズ)

走る介護福祉士

訪問介護のヘルパーなら最低限押さえておきたい必読書3冊!!

①のほほん解剖生理学 [ 玉先生 ]
・体の仕組みについて、漫画で分かりやすい!!

②介護で使える!「医行為でない行為」がすぐできるイラスト学習帳 [ 服部万里子 ]
・イラストで解説されており、医行為でない行為が判別できるようになる!!

③ユマニチュード入門 [ 本田美和子 ]
・認知症の方を含めた介護の基本中の基本が学べる!!

はじめに

高齢者の代表的な病気である高血圧。
高血圧とは何か?
どんな薬を飲み、どのように作用しているのか?
正しい測定方法あるのか?
予防方法はあるのか?
等々、現場に入るヘルパーとして知っておくべき必要のある知識についてまとめています。


高血圧とは

そもそも血圧とは、血管の中を血液が流れるときに血管にかかる圧力のことを言います。
この血圧の高い状態が続くことを高血圧といいます。

約4,300万人、日本人の1/3がかかる国民病です。

成人では血圧が140/90㎜Hg(家庭の場合は135/85mmHg)が基準値となります。

症状としては、頭痛や肩こり、めまいなどが起こることがあります。
血圧が高い状態が続くと血管に必要以上に力がかかった状態が続き、動脈硬化が進み、脳や心臓、腎臓に重篤な病気を引き起こします。

高血圧の薬の確認

【1】カルシウム拮抗薬:血管を広げることで血圧を下げる。
【2】ARB.ACE阻害薬:血管を収縮させる体内の物質を妨げることで血圧を下げる。
【3】利尿薬:塩分や水分を尿から出すことで血圧を下げる。
【4】β遮断薬:心臓の働きを抑えることで血圧を下げる。
【5】α遮断薬:血管の収縮を抑えることで血圧を下げる。

高血圧の治療で使用される代表的な薬とその作用5つが上記の通りです。

服用する薬の中には、副作用を引き起こすことがあります。
立ちくらみや浮腫(むくみ)を引き起こし、普段以上に転倒の注意が必要です。
また、利尿薬は、尿として水分が多めに出てしまうため、脱水に注意が必要となります。

薬を服用する際には、飲み合わせに注意が必要です。

例えば、
【1】のカルシウム拮抗薬は、血管を拡張させる働きがありますが、グレープフルーツやグレープフルーツジュースと一緒に摂取すると効果が増強され血圧が下がりすぎてしまいます。

血圧の測り方、降圧目標値

大切なのは、血圧を毎日決まった時間に計り、記録をしていくことです。

日々、記録ができていると医師の判断の助けになりますし、血圧の変動や、季節による血圧の変化などを正確に把握できれば、治療も的確なものになっていきます。

正しい血圧の測定の仕方は、朝(起床後、1時間以内の食前)、晩(就寝前)に計りましょう。
測定する前には、トイレを済ませてもらい、椅子に座り、1~2分安静にした後に測定しましょう。

カフェインを含むコーヒーや緑茶の摂取後や喫煙後の血圧測定では、血圧が高くなることがあるので、注意が必要です。

測定前の30分は控えてもらいましょう!!

降圧目標値

生活習慣について

高血圧の治療で大切なのは、生活習慣を改善することです。
適度な運動と食生活を改善しましょう!!

適度な運動

心臓や脳に特に疾患がなければ、ウォーキング等の有酸素運動を毎日30分以上行うことが推奨されています。
他に抱えている持病との兼ね合いもあるため、どのくらい運動するべきかについては医師に相談しましょう。

また、体重測定をすることで、適正体重を知り、適正体重を維持していくことで、高血圧だけでなく、他の生活習慣病の予防につながります。

ちなみに、BMI25未満が望ましいとされています。

※BMI=(Body Mass Index):身長と体重のバランスで肥満を示す指数。BMI=体重(㎏)÷身長(m)²

食生活

◆塩分は、1日6g未満が目標◆

食塩を摂りすぎると、血圧中にナトリウムが多くなります。
その濃度を調節しようとする働きにより、循環血液量が増加し、血圧が上がってしまいます。

◆野菜や青魚を積極的に摂る◆

肥満は血圧の上昇に影響するので、カロリー過多とならないように野菜を積極的に摂り、3食バランスよく食べるのが基本です。
また、青魚には血液中の悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあります。

◆動脈硬化の予防につながる食生活を◆

食物繊維やEPA(体内で作ることができない必須脂肪酸)が豊富な食品がおすすめです。
また、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きがあります。

高血圧緊急症

高血圧で怖いのは、高血圧緊急症が起きてしまうことです

聞きなれない言葉ですが、血圧の高度上昇(180/120mmHg以上)によって心臓や脳、腎臓などの臓器に障害が生じ、進行する状態のことです。

このような時は、すぐに医師に連絡する必要があります。

※こんな症状に注意※

□意識障害
□けいれん
□激し頭・胸・背中の痛み
□視力障害
□吐き気・嘔吐

この他、いつもより異常に血圧が高かったり低かったりした場合は、注意が必要です。

バイタルサイン(血圧のほかに、意識レベル・呼吸の状態・脈拍数・体温)に異常がないかを確認してみましょう。

明らかにいつもと様子が違う場合は、医師への連絡が必要となります。

最後に

利用者ほとんどの方が高血圧の病気をお持ちだと思います。
利用者の中には、「血圧が高くない日は薬を飲まなくて大丈夫!!」と自己判断してしまう方もいるかと思いますが、高血圧の治療は継続して服薬を続けることが、適度な運動、食生活とともに大切です。

参考になれば幸いです。



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